【健康経営企業訪問⑥】企業訪問報告会&健康経営向けヘルスケアピッチextracurricular activities
こんにちは。今年度、『産官学連携 2024年度健康経営訪問プロジェクト』に参加させていただきました、 ビューティ&ウェルネス専門職大学/Professional University of Beauty & Wellness 2年の髙井遥香です。
2024年12月15日、8月にも訪問させていただいた大塚製薬の東京本部にて、本プロジェクトの総まとめである企業訪問報告会&健康経営向けヘルスケアピッチを行いました。

※本会の宣伝広告画像
4月下旬に顔合わせをしてから、8月には3日間で計5つの省や自治体、企業を訪問させていただき、気づけば約8ヶ月間にわたり行っていた本プロジェクト。
インターネット上で同じグループのメンバーとは連絡を取っていましたが、この日夏ぶりに神奈川大学・昭和女子大学・千葉工業大学・武庫川女子大学の全プロジェクトメンバーと再会でき、とても嬉しかったです。
この日は企業訪問させていただいた、経済産業省・パーソルホールディングス・バックテック・大塚製薬・山形県上山市の各担当者の方々もお集まりくださり、久しぶりにお会いすることが叶いました。
最初に、経済産業省商務・サービスグループ、ヘルスケア産業課の忠内様より、『健康経営の足跡とこれから』と称し、取り組み始めて10年になる“健康経営”とは何かのおさらいと、近年の進捗状況、また11年目となる現在よりこれからの10年の展望をお話ししていただきました。

※経済産業省商務・サービスグループ、ヘルスケア産業課の忠内様
健康経営に取り組む企業は中小企業のみでも2万社を上回り、全体で見ても10%増など順調に増加しているそうです。
健康経営に取り組む企業は、アブセンティーイズム(傷病により欠勤している状態)だけでなく、プレゼンティーイズム(出勤はしているが完全なパフォーマンスができない状態)やワークエンゲージメント(仕事へのポジティブで充実した心理状態)までもが大きく改善しており、より健康経営が社会に浸透していくことへの期待が高まります。
また近年は女性特有の健康課題(月経随伴症、更年期障害、婦人科がん、不妊治療等)に対する施策も重要視されており、2025年度4月からは『健康経営における女性の健康施策の効果検証プロジェクト』の始動が予定されています。夏にもお話を伺い興味を持ちましたが、このように改善のための具体的なプロジェクトが動き出すということが私自身とても楽しみです。
健康経営の詳細については、『健康経営の推進について(https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/240328kenkoukeieigaiyou.pdf)』を調べていただけますと、経済産業省が公開している詳しいPDF資料をご覧いただけます。
『健康経営における女性の健康施策の効果検証プロジェクト(https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/health_management/pdf/001_04_00.pdf)』につきましても、第1回健康経営推進検討会の資料にて詳細が公開されていますので、上記をご覧ください。
その後は各訪問先の担当者の方々から、各社の“健康経営”について熱く語ってくださいました。

※各訪問企業の取り組みについて聞いている様子
パーソルホールディングスの松永様からは、大きなグループ会社という視点から、そのグループ内でどう健康経営を進めていくかについて、また「派遣登録スタッフも人的資本である」という考えのもと、派遣登録スタッフも含めての健康経営を行なっているという内容をご紹介していただきました。しっかりと今の課題を特定し、数字を算出、確実に改善していくという志が感じられました。
バックテックの福谷様からは、『ポケットセラピスト』というデジタルヘルスケアアプリを通して、その会社でどの健康問題に投資するべきか、投資した後はどのくらいの結果が出たか数字で示しているだけでなく、産業発展のために国際的な雑誌や学会へ多数論文を発表したり、「提案をできる人材を」と動画・実践的なワーク・AIを用いたアカデミー生の教育をしているなど、先進的な取り組みについてご紹介いただきました。
大塚製薬の桑原様からは、工場を含めた全体で行っている独自の体操『ポカリフレッシュ』や、記録や画像をシェアすることで社員同士が交流しながらお互いの運動意識を高めるバーチャル企画『ポカリスエット ラン&トーク』などをご紹介いただき、大企業だからこその健康交流企画が印象的だと感じました。女性向けの健康経営にも力を入れており、特に管理職へ向けて女性特有の健康課題の知識を増やす取り組みをしているそうです。
東北の自治体で唯一、健康経営優良法人(大規模法人部門)に認定されている山形県上山市の長澤様からは、『上山型温泉クアオルト事業』について、その内容をご紹介していただきました。
厚生労働省が定める特定保健指導内容をクリアしている宿泊型のプログラムもあり、帰宅後も4〜6ヶ月の保健指導を継続して行うことで、その行動変容率は97.2%にものぼるのだとか。こちらも受け入れ態勢構築支援を通して全体コーディネーターを育成しています。
取り組み内容に加え、今後の産業発展や人材教育を考えられた施策についてはもちろんですが、持ち時間5分という短時間ながらに落ち着いてしっかりと要点を話し切る担当者の方々のプレゼン力に敬服いたしました。
各社の詳しい取り組みに関しましては、ビューティ&ウェルネス専門職大学HPの『学生の活動』ページに、夏の訪問レポート(https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/health_management/pdf/001_04_00.pdf)が掲載されております。
各社の取り組み紹介の後には、一緒にプロジェクトに参加してくださっていた各大学の先生方よりお言葉をいただきました。
その際、武庫川女子大学の高橋先生もおっしゃっていましたが、このプロジェクトを通して普段は交流することのない他大学の学生と出会うことができ、その積極性や大学ごとの個性に良い刺激をもらった点も、今回の大きな学びの1つでした。
それぞれの忙しいスケジュールをすり合わせながらも食らいついた8ヶ月間だったと思います。
そしていよいよ、健康経営に関する大学生視点のヘルスケアビジネスピッチの時間です。
大学も学年もバラバラな4~5名で構成された3つのチーム(A・B・Cチーム)が、企業訪問後の9月から約3ヶ月間かけ考案したビジネスアイデアを、制限時間5分以内で訪問企業の皆様に向けてプレゼンします。
他グループの内容は噂でちょこちょこ聞いていたものの、しっかりと知るのはこの日が初めて。ビッチリと紙に原稿を書いて用意してきているチームや、自作のアロマスプレーで嗅覚に訴えるチームなど、それぞれ発表の仕方にも個性が出ており、どのチームもしっかりと準備してきた様子が伺えました。
Aチームの案は『生理オンラインセミナー』

※Aチームの発表の様子
「1人1人症状が違う生理について、男性だけでなく女性同士でも正しい知識を持ってほしい」「他人事だと思わず、お互いが支え合いながら無理や我慢をしなくて済む生活環境になってほしい」という、会社での女性の働きやすさだけでなく、なかなか話しづらい生理についてのヘルスリテラシー向上を狙ったアイデアです。
パーソルホールディングスが行なっているセミナーやイベントに注目し、キャリアについての女性イベントはあるものの女性の健康課題についてのイベントは無い点を取り上げ、生理クイズ・生理痛体験ワークショップ・生理についてのグループディスカッションを用いたオンラインセミナーを提案しました。
唯一女性のみで構成されたAチームだからこそ生まれた案であり、「私自身も生理が来た時親に言いづらかった」という発表者の言葉に親近感を覚え、心動かされました。
Bチームの案は『健康経営版人生ゲーム』

※Bチームの発表の様子
若年層に興味を持ってもらうためには楽しさが重要!という考えのもと、健康経営の内容や健康情報を追加し製作した『健康経営版人生ゲーム』で遊んでもらい、まずは健康の重要性や“健康経営”というものを知ってもらおうというアイデアです。
就職活動や転職を通して企業を選ぶ若年層(主に高校生や大学生等)をターゲットとし、まだまだ低い健康経営の認知度や重要視度を向上させることで、最終的に“健康経営をしないと生き残っていけない社会”を若者発信で作っていくという狙いがあります。
病気などの不健康なマスに止まった際には追加ルールである『ストレスボール』が貯まったり、大塚製薬の『ポカリスエット』やバックテックの『ポケットセラピスト』がお宝カードになっていたりと、アナログながらも健康要素が散りばめられています。
ターゲットが身近にいるからこそ出てきた視点の案でした。
Cチームの案は『Genki+〜睡眠改善とメンタルケアで健康経営〜』
※Cチームの発表の様子
若者の健康課題として睡眠不足とメンタルヘルスの悪化を挙げ、それらの健康課題が職場での生産性低下や人間関係悪化に繋がることから、このサービスを使用してその問題を改善していこうというアイデアです。
ターゲットを20代前後の男女に設定しているため、若者の日常に根付く“公式LINE”を通して、専門家による健康相談や動画配信、健康経営イベントの告知などを行います。
またこのチームはサービスだけでなく、オリジナル商品・グッズの販売まで考えており、アロマテラピーに詳しいビューティ&ウェルネス専門職大学の大滝教授ご協力のもと製作したアロマスプレーを持参していました。
リラックス効果の高いラベンダーに、相乗効果のあるベルガモット・カモミール・スイートオレンジの精油を加えたアロマスプレーで、会場に爽やかな香りが広がりました。
全てのチームの発表が終わり、審査員である担当者の方々の話し合いの末、1位に選ばれたのは…私も所属する我らがBチームの『健康経営版人生ゲーム』!!!
健康経営を自分ごとに捉えやすい点や、どこでも誰でも手軽に遊ぶことができる点を評価していただきました。

※経済産業省の忠内様とBチームのメンバー

Bチームのプレゼン資料と健康版お宝カード
このヘルスケアピッチを最後に、『産官学連携 2024年度健康経営訪問プロジェクト』は全て終了いたしました。
また新たな取り組みが始まるかもしれませんが、本プロジェクトは9年目の今回で一度区切りを迎えます。
8ヶ月間という長いプロジェクトでしたが、実体験に基づく学びと、ここでしかない出会いに感謝です。
最後になりましたが、お忙しい中、我々を見守ってくださった先生方、また受け入れを承諾してくださった経済産業省・パーソルホールディングス・バックテック・大塚製薬・山形県上山市に厚く御礼申し上げます。

※プロジェクト関係者全員での記念写真
※「#健康経営® 」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です