【2025健康経営企業訪問】(株)エムティーアイ訪問レポートextracurricular activities
こんにちは。今回エムティーアイ様を担当させていただきました、ビューティ&ウェルネス専門職大学/Professional University of Beauty & Wellness 2年生の津田若羽です。
健康経営企業訪問2日目の8月19日午前に東京都新宿区の東京オペラシティタワーにある株式会社エムティーアイ様を訪問しました。
まずは、エムティーアイの概要についてです。エムティーアイは1996年8月12日に創業者である前多俊宏氏によって設立された前多俊宏氏によって設立されたIT会社です。創業当初は携帯電話向けのコンテンツ配信事業などを手掛けており、1999年には店頭市場(現JASDAQ)に株式を公開しました。その後事業を拡大し現在は、東京証券取引所プライム市場に上場している企業です。従業員数は連結でおよそ1200名規模であり、安定した経営基盤を築いています。
事業内容は大きく分けてコンテンツ事業・ヘルスケア事業・学校DX事業・その他事業(AI事業、法人向けDX支援事業等)の4本です。
コンテンツ事業では音楽、動画、書籍などを配信する「music.jp」を中心としてエンターテインメントの分野で展開しています。携帯電話やスマートフォンの普及によってともに成長してきた事業だと思います。
ヘルスケア事業については、エムティーアイの特徴的な領域であり、特に、すべての女性の一生に寄り添うウィメンズヘルスケアサービスサービス「ルナルナ」が代表的です。ルナルナは月経日予測や妊娠サポート機能を持っており、累計ダウンロード数は2200万(2025年6月時点)を超えるなど高い認知度を誇っています。さらに、グループ会社の母子モが自治体向けに母子手帳アプリ「母子モ」を提供し、全国の780以上(2025年10月時点)の自治体が導入しています。このような活動により母子保健のデジタル化を推進し、行政サービスの効率化にも貢献しています。また、オンライン診療サービスや、薬歴管理、電子カルテといった医療向けソリューションの提供も行っており、医療DXにも積極的に取り組んでいます。
学校DX事業では、グループ会社のモチベーションワークスが課題解決集積志向のフルクラウド統合型校務支援システム「BLEND」の提供を行っています。学校運営に必要な様々な校務をデジタル化し一元管理することで、校務にかかる業務時間の短縮を支援しています。
ソリューション事業においては、金融機関をはじめとした法人や自治体などを対象にDX支援を展開しています。グループ会社であるAutomagiを通じたAIソリューションが代表例として挙げられます。これらのエムティーアイの全事業によって、法人や自治体などにおける業務効率化やデジタル化の推進を後押ししています。
グループ体制も幅広く、ソラミチシステム、ビデオマーケットなどを子会社に持ち、医療、ヘルスケア、エンターテインメント分野をカバーしています。さらに、昭文社ホールディングスやAuthleteといった企業への出資を通じて事業領域を拡大しており、多角的な経営を実現しています。

企業のビジョンとしては「世の中を、一歩先へ。」を掲げています。これは、未来の社会を見据えて、社会基盤を形作るサービスを創出するという思いが込められています。このビジョンのもと、風通しの良い社風が醸成されていると感じました。
そしてエムティーアイは、従業員の健康維持・増進やQOL向上などのために様々な取り組みを行っており、「ホワイト500」にも認定されています。各々のライフスタイルにあわせた働き方をすることで、生産性をあげることができるといいます。テレワークやスーパーフレックス、妊活支援、育児支援、介護支援などに取り組んでおり、自分の生活に合わせて仕事ができるようになっています。また、身体と心の両方を大切にするという考えのもと、健康セミナーや身体についての月間イベント、メンタルヘルスセミナー、社員の「心」と「身体」を支える情報サイト「エムティーアイ保健室」なども充実していました。
性差に基づく問題に関しても、ルナルナ オフィスの導入により取り組んでいます。まずはお互いに知るところから始めようと考えており、女性のからだ健康セミナーや男性更年期セミナーなどを行っています。実際に男性社員の方が、女性の月経に関する体調の変化や仕組み、PMSのことを学んだことでとても勉強になったとの意見が多かったようです。ルナルナ オフィスとは働く女性の健康課題改善をサポートする法人向けのフェムテックサービスです。エムティーアイのグループ会社であるLIFEMが提供しています。
ホルモンの変動や年齢に伴う身体の不調を少しでも減らすために、ライフステージごとの健康課題に向き合っています。こちらでは月経プログラム、妊活相談プログラム、更年期プログラム、そして男性従業員向けには男性更年期プログラムを提供しています。プログラムを通じて、健康課題に関する基礎知識セミナー、オンライン相談・診療などを行っています。適切な情報を届けることが、全社的な健康経営につながると感じました。
休憩の時間には、実際に月経の痛さを疑似体験できるブースで体験させてもらいました。お腹と背中の2か所に電極パッドを張り付けて電流を流すことで本当の痛みのように感じることができました。電流にも種類があり、Power(痛みの強さ)、Freq(痛みの頻度)、Pos(痛みの箇所)、Pulse Width(痛みが15秒ごとに強弱を繰り返す)の4つがありました。女性の皆様はいつもの痛さがこのくらいだなと数値で出てくることで、ひとりひとり重さが異なることを私も再確認できました。意外にも痛みの大きさよりも痛みの頻度が高いほうが苦しかったです。男性の皆様は一番低いレベルでも痛いと顔をゆがめている方もいて「こんな感じなんだ」と驚いていました。

(新井教授が強度“1”で体験している様子)
後半にはグループワークとして2グループに分かれて「学校職員の働き方や学生生活・就活支援のために、『女性/性差に基づく健康経営』に対して今後求められる学校や地域の役割は?」というお題で話し合いました。
私のいたグループでは、小学校や中学校で月経について学ぶときに男女ともに勉強すること、そして大学の中でも1年生の必修で教える中に組み込むことが大切なのではないかという意見が出ました。まずは当たり前の知識にすることから始め、他には備蓄品入れ替えの時期などに生理用品を配布するイベントを行うことや、企業様が健康経営でこんなことに取り組んでいますと学校・キャリアセンターへわかりやすく提示してもらうこと、学生同士で伝えることや話し合うことがあげられました。特に印象に残ったのは、学生同士で話し合うということでした。学生の中でも認識や感覚が違うことがありますがどんなことが大変だと感じているのか、気を付けていることなどを情報交換することは私の周りではありません。しかし出してもらった意見の中に「SRHR」の活動に取り組んでいるとお話してくださった方がいました。SRHRとは、Sexual and Reproductive Health and Rights(セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ)の略です。日本語にすると性と生殖に関する健康と権利という意味になります。性や生殖に関して、健康に生きること、そしてそのための権利を持つということです。実際に大学生の時に意見交換をしたりすることで性的マイノリティの人の健康課題について学ぶなど周りへの配慮を考えるようになったそうです。参加することで月経について恥ずかしいことではなく普通に話せるようになることや偏見がなくなることで学校や職場での性差に基づく問題が減るのではないかと感じました。私自身家族以外に月経のことを話す機会がなく、恥ずかしいと心のどこかで感じていましたが、今回の健康経営プロジェクトに参加していく中で、恥ずかしいと思う必要はないんだなと感じました。また、男性の方も触れにくいと感じているだけで知りたいと思っている方がたくさんいることに驚きました。性差は埋まらないものなので、それを今後どうやって問題が減っていくのか、社会全体が健康経営を意識できるようになれたら素敵だなと考えました。
最後になりましたが、お忙しい中、我々を見守ってくださった先生方、また受け入れを承諾してくださったエムティーアイ様・LIFEM様・カラダメディカ様に厚く御礼申し上げます。

※「#健康経営® 」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です